2025-02-16 UP!

2025年2月15日(土)、今年最初の時習サロンが開催されました。
会場は新御茶ノ水駅そばの連合会館・401会議室。
当日は早春の日差しに恵まれ、41名(講師除く)の同窓生が集まりました。

今回の講演テーマは、
「裁判で社会を変えられるか?」
講師は、竹内浩史さん(津地家裁総括判事・
日本裁判官ネットワーク・時33回)です。

▲講師の竹内浩史さん

竹内さんは’62年10月生まれ、’81年東京大学法学部に入学、
’84年在学中に司法試験合格、’85年司法研修所に入所。
’87年愛知県で弁護士登録、人権派弁護士として労働事件、
市民オンブズマン事件などを担当後、
’03年に弁護士任官で裁判官に。’21年より津地家裁判事(民事部総括裁判長)。
去る’03年秋の時習館創立130周年記念フォーラム(@視聴覚教室)において、
「裁判官の良心とは」というテーマで講演。その趣旨は、
’24年の著作『「裁判官の良心」とはなにか』にまとめられています。

▲竹内さんの著作『「裁判官の良心とはなにか」』(LABO刊・24年5月)。続編が刊行予定、とのこと

今回は、同窓生向けの講演ということもあり、
まずは自らの来し方行く末を、時折ギャグを交えざっくばらんな口調で紹介、
メインテーマとしては、社会に現存する
不当性・不公正・ひずみに抗する姿勢を示しつつ、
民事・行政裁判が社会に果たす役割につき、平易に解説していただきました。

【そもそも、理系志向であったという竹内さん】
→社会をより急に変えるには法律を学ぶ方が良い、弱者を扶けて権力に「逆転勝ち」
したいと考えて進路選択。弁護士任官という裁判官の中での「少数民族」の道をあえて選び、
積極的に「モノを言う」日々を送る。
時代を遡るかのような保守化の波に危機感を抱きつつ、
今春、退官後は後進の育成につとめる予定。
時習館創立130周年記念フォーラムへの参加】
聴講者には、4つの裁判のゆくえに注目することを勧めた。
①旧優生保護法国家賠償請求、②同性婚訴訟、③夫婦別姓訴訟、④被選挙権年齢引き下げ
→著作の第一章はこの講演の記録。とりわけ②、③の行方は市民として注目していくべき。
講師が国を提訴した理由】講師・竹内氏は24年7月、現役裁判官として、国を被告とし、
「国家公務員の勤務地の地域手当格差を憲法違反」と主張する訴訟を提起
●国家公務員の地域手当はそれぞれの地域によって不均衡が甚だしい。(憲法14条違反では?)
●裁判官も都会から地方への赴任で実質的に減俸(憲法80条2項違反)
●団体への所属によって昇格昇給差別が存在する
●国家公務員ー地方公務員ー民間賃金ー最低賃金という報酬格差の関係
(地方では民間企業の賃金が公務員の給与実態に影響されるという慣行がある)
以上の不均衡、不平等(裁判官の「良心」を脅かす危険あり)の是正を意図する。
公共訴訟とクラウドファンディング】
社会課題の解決を目的とする訴訟を「公共訴訟」と呼ぶ。
●この公共訴訟に必要な費用をクラウドファンディングで賄うことを
目的とするNPO「CALL4」(コールフォー。
「call for〜」と三権に次ぐ第四の力としての「市民」をかけたネーミング)
に、竹内氏の訴訟も加わっている。
●「CALL4」にエントリーしている訴訟の例をいくつか紹介

▲竹内さんのブログ「弁護士任官どどいつ集」はこちらへ

 

▲会場の様子

講演終了後、参加者と講師との質疑応答コーナーへ。
●裁判官の「心証」というが、その定義は?
●「敗訴」と言わずに「不当判決」と称するのは?
●今後、市民運動でもなく、教員・弁護士として活動されるとのことだが、
裁判官としての考え方・姿勢との違いは?
といった質問が会場からあがり、その場で講師からの回答がありました。

12時30分からは会場を替えて懇親会となりました。
いつもながら、世代をこえての愉しい交流が見られました。

▲懇親会はタイ料理のお店「サイアムセラドン御茶ノ水ソラシティ店」にて(加工済)

時習33回生が2年間幹事を務めた時習サロンですが、
任期満了につき、次回からは時習35回生がサロン幹事を務めます。
33回生のみなさん、ありがとうございました。



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